毎日使う「食器」。何気なく選んでいるかもしれませんが、実は食器一つで、いつもの食事がぐっと美味しく感じられたり、食卓が華やかになったりする、暮らしの隠れた主役なんです。でも、いざ食器を選ぼうとすると、「陶器と磁器って何が違うの?」「このお皿には何を乗せるのが正解?」「お手入れってどうすればいいの?」なんて、たくさんの「はてな」が浮かんできませんか?
この記事は、そんなあなたのための「食器の教科書」です。特定の商品をおすすめしたり、ランキングをつけたりすることは一切ありません。その代わりに、食器の素材の知識から、形の名前と役割、おしゃれに見せるコーディネートのコツ、そして大切な食器を長く愛用するためのお手入れ方法まで、食器にまつわるあらゆるお役立ち情報を、ぎゅぎゅっと詰め込みました。
この記事を読み終わる頃には、あなたも立派な「食器博士」。自分にぴったりの食器を見極める目が養われ、毎日の食事がもっと楽しく、もっと豊かになるはずです。さあ、奥深い食器の世界へ、一緒に旅に出かけましょう!
食器の素材、それぞれの特徴を知ろう!
食器と一口に言っても、その素材はさまざま。見た目の印象はもちろん、重さや丈夫さ、扱いやすさも大きく異なります。まずは代表的な素材の特徴を知って、自分のライフスタイルに合ったものを見つける第一歩にしましょう。
陶器 – 温かみのある風合い
「やきもの」と聞いて多くの人がイメージするのが、この陶器かもしれませんね。土のぬくもりを感じさせる、素朴で温かみのある風合いが最大の魅力です。土から作られているため、少し厚手で、持った時にほっこりとした気持ちになります。
- 特徴
主原料は「陶土」と呼ばれる粘土です。粒子が粗いため、焼き上がりは少し多孔質(小さな穴がたくさんあいている状態)になります。そのため、吸水性があるのが大きな特徴です。 - メリット
厚手で熱が伝わりにくいので、熱い飲み物やスープを入れても器自体が熱くなりにくく、保温性にも優れています。また、土の質感を活かしたデザインが多く、一つひとつ表情が違うのも魅力です。 - デメリット
吸水性があるため、色の濃い料理を長時間入れておくと、シミや匂いが移ってしまうことがあります。また、磁器に比べると強度が低く、縁などが欠けやすいのも注意点です。電子レンジや食洗機が使えない製品も多いので、購入前によく確認しましょう。 - お手入れのポイント
使い始める前に「目止め」という作業をすると、汚れや匂いがつきにくくなります。詳しい方法は後ほど解説しますね。使った後は、なるべく早く洗って、しっかりと乾かすことが大切です。
磁器 – 丈夫で扱いやすい優等生
陶器と並ぶやきものの代表格、磁器。つるりとした滑らかな肌と、ガラスのような硬質さが特徴です。陶器が「土」なら、磁器は「石」のイメージ。レストランなどで使われている白い食器の多くは磁器製です。
- 特徴
陶石(石の粉)を主原料にして、高温で焼き締められています。粒子が非常に細かいため、焼き上がりは緻密で硬く、吸水性はほとんどありません。指で軽く弾くと、「キーン」という金属的な高い音がします。 - メリット
なんといっても丈夫で欠けにくいのが最大のメリット。汚れや匂いもつきにくく、普段使いにぴったりです。電子レンジや食洗機に対応している製品が多いのも、忙しい現代人には嬉しいポイントですね。 - デメリット
陶器のような土の温かみは少なく、シャープで少し冷たい印象を与えることもあります。また、熱伝導率が高いため、熱いものを入れると器自体も熱くなりやすいです。 - お手入れのポイント
吸水性がほとんどないので、特別なお手入れは基本的に不要です。普段通りに洗浄し、乾燥させればOK。扱いやすさはピカイチです。
ガラス – 透明感が食卓を彩る
涼しげな透明感で、食卓に軽やかさと彩りを加えてくれるガラス製の食器。飲み物だけでなく、前菜やデザート、冷製パスタなどを盛り付けると、食材の色が映えてとても美しいです。
- 特徴
ソーダガラス、クリスタルガラス、耐熱ガラスなど、用途によってさまざまな種類があります。透明で、中に入れたものがはっきりと見えるのが最大の特徴です。 - メリット
見た目の美しさと涼やかさはもちろん、匂いや色が移りにくいのも大きなメリット。酸や塩分にも強いので、マリネやピクルスなどを入れるのにも適しています。 - デメリット
衝撃に弱く、割れやすいのが一番の注意点。また、製品によっては急激な温度変化に耐えられず、熱湯を注いだだけで割れてしまうこともあります(耐熱ガラス製を除く)。金属製のカトラリーなどを使うと、表面に細かい傷がつきやすいです。 - お手入れのポイント
水滴の跡(水垢)が残りやすいので、洗った後は乾いた布で水気を拭き取ると、輝きが長持ちします。洗う際は、研磨剤入りのスポンジやクレンザーを避け、優しく洗いましょう。
木製食器 – 自然のぬくもりを感じて
自然素材ならではの優しい木目と、手にした時の軽やかさ、口当たりの良さが魅力の木製食器。いつもの食事が、まるでおしゃれなカフェのメニューのように見えたりします。お椀やサラダボウル、カトラリーなどが人気です。
- 特徴
木をくり抜いたり、組み合わせたりして作られます。素材となる木の種類(ケヤキ、サクラ、メープルなど)によって、木目や色合い、硬さが異なります。 - メリット
陶磁器に比べて非常に軽く、お子様やご年配の方でも扱いやすいです。熱が伝わりにくいため、熱いスープを入れても持ちやすく、口当たりも熱くありません。落としても割れにくいのも嬉しいポイントです。 - デメリット
水分や油分を吸いやすいため、長時間料理を入れたままにするとシミになることがあります。また、乾燥に弱く、長時間水につけっぱなしにしたり、直射日光に当てたりすると、ひび割れや変形の原因になります。電子レンジや食洗機は基本的に使用できません。 - お手入れのポイント
使ったらすぐに洗い、すぐに布で拭いて水気を完全に取ることが何より重要です。表面がカサついてきたら、オリーブオイルや専用のオイルを薄く塗り込むと、ツヤが戻り長持ちします。
漆器 – 日本の伝統美
お正月やお祝いの席で目にする機会が多い漆器。深みのある光沢と、滑らかな手触りが特徴の、日本の伝統工芸品です。お椀やお重、お箸などが代表的で、大切に扱えば何十年と使える逸品です。
- 特徴
木地(木で作った器の原型)に、漆の木の樹液を何度も塗り重ねて作られます。非常に手間のかかる工程を経て、あの美しい光沢が生まれます。 - メリット
軽い上に断熱性が高く、熱い汁物を入れても手が熱くなりません。また、酸やアルカリ、塩分にも強く、抗菌作用があるとも言われています。使い込むほどにツヤが増し、風合いが変化していくのも楽しめます。 - デメリット
高価なものが多く、丁寧に扱う必要があります。紫外線に弱いため、直射日光に当てると変色や劣化の原因になります。また、急激な乾燥も苦手です。もちろん、電子レンジや食洗機の使用はできません。 - お手入れのポイント
洗う際は、柔らかいスポンジと中性洗剤で優しく。洗い終わったら、すぐに柔らかい布で水気を拭き取りましょう。保管は、直射日光の当たらない、温度変化の少ない場所が適しています。
プラスチック – 気軽で便利な現代の食器
軽くて割れにくく、安価で手に入るプラスチック製の食器。特に小さなお子様がいるご家庭では大活躍しますね。ピクニックやキャンプなどのアウトドアシーンでも重宝します。
- 特徴
メラミン樹脂、ポリプロピレン、飽和ポリエステル樹脂(トライタン)など、さまざまな種類のプラスチックがあります。それぞれ耐熱温度や特徴が異なります。 - メリット
圧倒的に軽くて、割れる心配がほとんどないのが最大の利点。価格も手頃で、カラーやデザインのバリエーションが非常に豊富です。重ねてもかさばらず、収納しやすいものが多いです。 - デメリット
表面に細かい傷がつきやすく、その傷に汚れが入り込んでしまうことがあります。油汚れが落ちにくいと感じることも。カレーやミートソースなどを入れると、色が移ってしまう場合があります。また、陶磁器などに比べると、どうしても安っぽく見えてしまうこともあります。 - お手入れのポイント
傷つきやすいので、硬いたわしは避けて柔らかいスポンジで洗いましょう。着色汚れが気になる場合は、酸素系漂白剤が有効です(製品の取扱説明書を確認してください)。
金属製食器 – スタイリッシュで機能的
タンブラーやカトラリーでおなじみの金属製食器。近年では、アウトドア用の食器としても人気が高まっています。シャープでモダンな印象を与え、機能性に優れているのが特徴です。
- 特徴
ステンレス、チタン、アルミ、錫(すず)など、使われる金属はさまざま。特にステンレスは錆びにくく衛生的で、広く使われています。 - メリット
とにかく丈夫で、割れたり欠けたりする心配がありません。二重構造になったタンブラーなどは、保温・保冷効果が非常に高く、飲み物の温度を長時間キープしてくれます。匂い移りもしにくいです。 - デメリット
金属特有の「カチャカチャ」という音が気になる人もいます。熱伝導率が高いため、熱いものを入れると器自体が非常に熱くなることがあります(二重構造のものを除く)。人によっては金属アレルギーの心配もあります。電子レンジでは絶対に使用できません。 - お手入れのポイント
基本的には丈夫ですが、塩分や酸性のものを長時間付着させたままにすると、サビの原因になることがあります。洗った後は水気をしっかり拭き取ると、水垢を防ぎきれいに保てます。
食器の形と名前、知っておくと便利!
食器には、料理を美味しく見せ、食べやすくするための工夫が詰まった、さまざまな形があります。それぞれの名前と主な用途を知っておくと、食器選びがもっと楽しくなり、料理の盛り付けも上達しますよ!
お皿の種類
平たい形状の食器全般を「お皿」と呼びます。サイズや深さ、形でたくさんの種類があります。
丸皿
最もベーシックで使いやすい形のお皿。どんな料理にも合わせやすく、まず揃えるならこの形です。大きさによって呼び名と用途が変わります。
- 大皿(約24cm〜):メインディッシュや、数人分のおかずを盛り合わせるのに使います。ディナープレートとも呼ばれます。
- 中皿(約15cm〜23cm):取り皿として一番出番が多いサイズ。朝食のパンやサラダ、一人分の炒め物や焼き魚など、万能に使えます。
- 小皿(約9cm〜14cm):お漬物や和え物などの副菜、フルーツやケーキなどのデザートに。
- 豆皿(〜約8cm):醤油や薬味を入れたり、箸置きとして使ったり。小さくて可愛いデザインが多く、コレクションするのも楽しいです。
角皿
四角い形のお皿は、食卓に変化を与えてくれる名脇役。モダンでスタイリッシュな印象になります。お刺身の盛り合わせや焼き魚、卵焼きなどを乗せると、余白が活きてとてもきれいに見えます。前菜を少しずついくつか並べるのもおしゃれですね。
深皿(パスタ皿・カレー皿)
縁が立ち上がっていて、ある程度の深さがあるお皿です。その名の通り、パスタやカレー、シチューといった汁気のある料理に最適です。他にも、スープたっぷりのアクアパッツァや、あんかけ焼きそばなど、用途は多彩。一枚あると非常に重宝します。
オーバル皿(楕円皿)
楕円形のお皿は、丸皿と角皿のいいとこ取り。柔らかい印象でありながら、食卓のスペースを有効活用できる優れものです。サンマなどの長い魚もまるごとおさまり、複数のおかずをワンプレートに盛り付けるのにも便利。食卓にリズムが生まれて、こなれた雰囲気になりますよ。
お椀・ボウルの種類
深さのある鉢形の器を「お椀」や「ボウル」と呼びます。ご飯や汁物、副菜など、和洋問わず活躍します。
飯碗(ごはんぢゃわん)
毎日使う、ご飯をよそうための器です。手に持って食べるものなので、自分の手にしっくりとなじむ大きさと形、重さであることが大切。口に当たる部分(口縁)の厚みや反り具合で、口当たりも変わってきます。
汁椀
お味噌汁やお吸い物を入れるための器。こちらも手に持って口をつけて飲むものなので、持ちやすさと口当たりの良さが重要です。熱い汁物を入れるため、熱が伝わりにくい木製や漆器、あるいは厚手の陶器などが向いています。
丼(どんぶり)
カツ丼や親子丼などの丼もの、うどんやそば、ラーメンといった麺類を食べるための、大きくて深い鉢。具材をたっぷり乗せられるよう、口が広く、安定感のある形をしています。高台がしっかりしていて持ちやすいかどうかもチェックしたいポイントです。
小鉢・中鉢
和食の食卓に欠かせない、万能な器です。ほうれん草のおひたしなどの和え物、きんぴらごぼうなどの常備菜、冷奴、煮物など、副菜を盛り付けるのにぴったり。ヨーグルトやフルーツを入れるデザートボウルとしても使えます。形やデザインが豊富なので、いくつか揃えておくと食卓が豊かになります。
サラダボウル
たっぷりのサラダを混ぜ合わせたり、そのまま食卓に出したりするための大きなボウル。ガラス製や木製のものだと、野菜の色が映えてフレッシュに見えますね。複数人で取り分けるスタイルの時に活躍します。
カップ・グラスの種類
飲み物を楽しむための器も、実にたくさんの種類があります。飲み物の種類に合わせて選ぶと、香りや味わいがより一層引き立ちます。
マグカップ
取っ手のついた、筒形のカップ。コーヒーや紅茶、ココア、スープなど、何にでも使える日常の相棒です。陶器や磁器製が一般的で、保温性が高いのが特徴。容量が大きく、たっぷり飲みたい時にぴったりです。
ティーカップ&ソーサー
紅茶を飲むために作られたカップと受け皿のセット。紅茶の美しい色(水色:すいしょく)と香りを楽しむため、口が広く、背が低い形をしています。ソーサーは、カップを置くだけでなく、スプーンを置いたり、角砂糖を添えたりする役割もあります。
コーヒーカップ&ソーサー
コーヒー用のカップと受け皿。ティーカップに比べて、コーヒーが冷めにくいように口が狭く、深さのある形をしています。デミタスカップと呼ばれる、エスプレッソ用の小さなサイズもあります。
湯呑み
日本茶を飲むための、取っ手のないカップ。お茶の温かさを手で感じながら、ゆっくりと味わうための形です。細長い筒形のものは煎茶や番茶に、平たくて口が広い形のものは玉露など、お茶の種類によって使い分けることもあります。
グラス(タンブラー)
ガラス製のコップの総称ですが、特に底が平らで寸胴な形のものをタンブラーと呼びます。水やお茶、ジュース、ビール、カクテルなど、冷たい飲み物なら何にでも使える万能選手。容量や高さ、デザインもさまざまです。
センス良く見せる!食器の選び方と組み合わせのコツ
食器の基本的な知識が身についたら、次はいよいよ「選び方」と「組み合わせ方」です。センス良く見せるには、ちょっとしたコツがあります。難しく考えずに、ゲーム感覚で楽しんでみましょう!
まずは基本の食器を揃えよう
これから一人暮らしを始める方や、食器を新しく揃えたいと考えている方は、まず「基本セット」から揃えるのがおすすめです。あれもこれもと欲しくなりますが、まずは最低限、これさえあれば一通りの食事ができる、というアイテムを見極めましょう。
一例として、和食にも洋食にも対応できる基本セットを挙げてみます。
- 中皿(18〜21cmくらい):一番出番の多いサイズ。パンと目玉焼き、一人前のパスタ、メインのおかずと付け合わせなど、何にでも使えます。
- 飯碗:ご飯を食べるなら必須ですね。少し深さのある小鉢やカフェオレボウルで代用することも可能です。
- 汁椀 or スープカップ:お味噌汁やスープに。木製のお椀なら和洋どちらのスープにも不思議と合います。
- 小鉢 or 小皿:副菜やフルーツ、ヨーグルトなどに。何枚かあると食卓が豊かになります。
- マグカップ or グラス:毎日の飲み物に。
そして、色選びに迷ったら、まずは「白」の食器を選ぶのが鉄則です。白はどんな色の料理も引き立てて美味しそうに見せてくれますし、他のどんな色や柄の食器ともケンカせずに合わせられる万能カラー。基本を白で固めておけば、後から好きな色や柄の食器を買い足していく楽しみも広がります。
ライフスタイルに合わせた食器選び
基本の次は、自分の暮らしに目を向けてみましょう。どんな食器が必要かは、あなたのライフスタイルによって大きく変わってきます。
- 家族構成:一人暮らしなら自分のお気に入りだけを少し。二人暮らしならペアで揃える楽しさがあります。お子様がいるファミリーなら、割れにくい素材の食器が活躍するでしょう。来客が多いなら、少し多めに取り皿を用意しておくと安心です。
- 食生活の傾向:和食をよく作るなら、焼き魚が乗る角皿や、煮物を入れる中鉢があると便利。パスタやカレーなど洋食が多いなら、深皿は必須アイテムです。自炊はあまりせず、買ってきたお惣菜を盛り付けることが多いなら、仕切りのあるプレート皿が役立つかもしれません。
- お手入れの習慣:食洗機を毎日使うなら、「食洗機対応」の表記は必ずチェックしましょう。逆に、お気に入りの食器を一枚一枚丁寧に手洗いするのが好き、という方は、少し手のかかる素材(陶器や木製など)に挑戦するのも良いですね。
- 収納スペース:食器棚のスペースは限られています。重ねて収納しやすい形か、スタッキングできるかどうかも、意外と重要なポイントです。闇雲に増やすのではなく、手持ちの食器との相性や収納場所を考えてから購入するクセをつけましょう。
色や柄で食卓をコーディネート
食器の組み合わせで食卓の雰囲気はガラリと変わります。難しく考えず、洋服のコーディネートと同じように考えてみましょう。
色の組み合わせ
まずは色。同系色でまとめると、統一感が出て上品な印象になります。例えば、ベージュやブラウン系の陶器でまとめれば、温かみのあるナチュラルな食卓に。青や藍色の食器で揃えれば、涼やかで凛とした雰囲気になります。逆に、白や黒といったモノトーンの食器をベースに、差し色として鮮やかな色の小皿やカップを一つ加えると、食卓がぐっと引き締まり、おしゃれに見えます。
柄物の取り入れ方
柄物の食器は食卓を華やかにしてくれますが、使い方が難しいと感じるかもしれません。そんな時は、まずは豆皿や小鉢、マグカップなど、面積の小さいものから取り入れてみましょう。柄と柄を組み合わせる上級テクニックもありますが、最初は「柄物1点+無地」の組み合わせが簡単です。和柄なら和柄、北欧柄なら北欧柄と、柄のテイストを揃えると、ごちゃごちゃした印象になりにくいですよ。
質感(テクスチャー)で変化をつける
色や形だけでなく、「質感」の違いを意識すると、コーディネートの幅がぐっと広がります。ツルツル、ザラザラ、マット、ツヤツヤ…。さまざまな質感を組み合わせてみましょう。
例えば、つるりとした磁器のお皿の上に、ざらっとした質感の陶器の小鉢を乗せる。あるいは、ガラスの器と木の器を並べてみる。そうするだけで、食卓に奥行きとリズムが生まれます。すべて同じ素材で揃えるのも統一感があって素敵ですが、あえて異素材をミックスすることで、こなれた「わかってる感」を演出できますよ。
大切な食器を長持ちさせるためのお手入れ方法
お気に入りの食器を手に入れたら、できるだけ長く、きれいな状態で使いたいですよね。そのためには、日頃のお手入れがとても大切です。ちょっとした手間をかけるだけで、食器はちゃんと応えてくれますよ。
使い始める前に「目止め」をしよう
これは主に、吸水性のある「陶器」や、釉薬のかかっていない土物の器に対して行う、使い始めの儀式のようなものです。
目止めって何?
陶器には、目に見えない細かな穴がたくさん開いています。この穴を、お米のでんぷん質などで意図的に埋めてあげる作業が「目止め」です。これをやっておくことで、料理の水分や油分が器に染み込みにくくなり、シミや匂い移りを防ぐ効果が期待できます。
目止めの方法
一番簡単なのは、米のとぎ汁を使う方法です。
- 鍋に食器と、それが完全に浸るくらいの米のとぎ汁を入れます。
- 弱火にかけて、ゆっくりと沸騰させます。沸騰したら火をさらに弱め、15〜20分ほど煮沸します。
- 火を止めて、鍋に入れたまま、とぎ汁が完全に冷めるまで自然に放置します。
- 器を取り出し、水洗いして、水気を拭き取ったら、風通しの良い場所で完全に乾かします。
米のとぎ汁がない場合は、水に片栗粉や小麦粉を大さじ1〜2杯溶かしたものでも代用できます。少し手間に感じるかもしれませんが、この一手間で器の寿命が変わってくることもあります。
日々の洗い方で気をつけること
毎日の食器洗いの際にも、いくつか気をつけたいポイントがあります。
- 食べ終わったらすぐに洗う
特に陶器や木製の食器は、長時間汚れたまま放置すると、シミやカビの原因になります。できるだけ早く洗う習慣をつけましょう。 - 柔らかいスポンジを使う
研磨剤入りのスポンジや、クレンザー、金属たわしは、食器の表面に細かい傷をつけてしまいます。特にガラスや漆器、金彩・銀彩が施された食器には絶対に使わないでください。 - つけ置き洗いの注意点
油汚れがひどい時につけ置きしたくなりますが、陶器や木製の食器は水分を吸ってしまうので、長時間のつけ置きは避けましょう。磁器やガラスは基本的に大丈夫ですが、やはり早めに洗うのが一番です。 - 食洗機の使い方
「食洗機対応」の食器でも、庫内に詰め込みすぎると、食器同士がぶつかって欠けたり、水流が当たらず汚れが落ちなかったりします。ゆとりを持って並べましょう。また、漆器や木製、金彩・銀彩の食器、高価なガラス器などは、手洗いするのが無難です。
厄介な汚れの落とし方
気をつけていても、いつの間にかついてしまう頑固な汚れ。そんな時の対処法を知っておきましょう。
茶渋・コーヒーの着色汚れ
カップや湯呑みについた茶渋は、なかなか手ごわいですよね。そんな時は、重曹や酸素系漂白剤が役立ちます。桶などにぬるま湯を張り、漂白剤を溶かして、そこに食器をつけ置きします。しばらく置いた後、スポンジで軽くこすれば、きれいになることが多いです。(※塩素系漂白剤は強力すぎる場合があるので、酸素系がおすすめです。また、製品の注意表示を必ず確認してください。)
金彩・銀彩の食器の注意点
キラキラと輝く金や銀の装飾が施された食器は、とてもデリケートです。電子レンジに入れると火花が散って大変危険なので、絶対にやめましょう。洗う時も漂白剤は使わず、柔らかいスポンジで優しく手洗いしてください。強くこすると装飾が剥がれてしまうことがあります。
ひび・欠けができてしまったら
お気に入りの食器が欠けてしまったらショックですよね。小さな欠けやひびであれば、「金継ぎ(きんつぎ)」という日本の伝統的な修復技法で、美しく蘇らせることができます。漆で接着し、金粉などで装飾する金継ぎは、傷跡を「景色」として楽しむ、ものを大切にする素敵な文化です。自分でできるキットも販売されていますし、専門の職人さんに依頼することもできます。
正しい収納と保管の仕方
洗い終わった後のしまい方にもコツがあります。
- 完全に乾かしてからしまう
水分が残ったままだと、カビや嫌な匂いの原因になります。特に陶器や木製食器は注意が必要です。洗った後は布巾で拭くだけでなく、しばらく自然乾燥させてから食器棚に戻しましょう。 - 重ねる時は緩衝材を挟む
食器を重ねて収納する際は、器と器の間にキッチンペーパーや柔らかい布を一枚挟むだけで、擦り傷を防ぐことができます。特に、繊細な装飾があるものや、お気に入りの器にはぜひ実践してみてください。 - 特別な食器の保管場所
漆器や金彩が施された器、アンティークの食器などは、紫外線や急激な温度・湿度の変化が苦手です。直射日光が当たる場所や、照明のすぐ下、エアコンの風が直接当たる場所などは避けて保管しましょう。
知っておくと面白い!食器にまつわる豆知識
食器はただの道具ではありません。その形や文化には、長い歴史の中で培われてきた知恵や美意識が詰まっています。知れば知るほど、食器への愛着が深まる豆知識をいくつかご紹介します。
器の「高台(こうだい)」って何のため?
飯碗やお椀、湯呑みなどの底についている、輪っか状の台の部分。これを「高台」と呼びます。何気なく見ているこの部分にも、実は大切な役割があるんです。
- 熱を遮断する:熱いご飯や汁物を入れても、高台があるおかげで、底まで熱が伝わりにくく、手で持つことができます。
- 安定させる:器をテーブルに置いた時に、安定させる役割があります。高台の内側を「高台内(こうだいうち)」と呼び、ここを見るとその器の作者や窯元の銘が入っていることもあります。
- 持ちやすくする:高台に指をかけることで、器をしっかりと持つことができます。和食では器を手に持って食べるのが基本なので、これはとても重要な機能です。
- 格の高さを表す:昔は、高台が高いほど格が高い器とされていました。今でも、格式の高い席で使われる器には、丁寧な作りの高台が見られます。
次に器を手に取る時は、ぜひ裏返して高台にも注目してみてください。作り手のこだわりが感じられるかもしれません。
和食器と洋食器の違い
和食に使う器と、洋食に使う器。なんとなく違うことはわかりますが、具体的にどこが違うのでしょうか。背景にある食文化の違いが、器の形に表れています。
- 持ち上げるか、置いたままか
和食の最大の特徴は、器を手に持って食べること。飯碗も汁椀も、小鉢も手に持ちます。そのため、和食器は片手で持てるサイズ感で、手になじむ形や素材感が重視されます。一方、洋食はナイフとフォークを使うため、お皿はテーブルに置いたままです。そのため、洋食器は大きくて平らなものが多く、持ちやすさよりもテーブル上での安定感や、料理を盛り付けた時の美しさが重視されます。 - セットか、組み合わせか
洋食器は、ディナープレート、スープ皿、パン皿、カップ&ソーサーなどが同じデザインで揃えられた「セット」で販売されることが多いです。これは、コース料理のように統一感のあるテーブルセッティングを前提としているからです。対して和食器は、飯碗、汁椀、主菜皿、副菜鉢、小皿…と、それぞれが独立したアイテムとして作られています。素材も形も色もバラバラな器を、その日の献立に合わせて自由に「組み合わせる」のが和食器の楽しみ方なのです。この違いは、多様性を重んじる日本の食文化を象徴しているようで面白いですね。
有名産地の焼き物を知ろう
日本には、古くから焼き物作りが盛んな地域がたくさんあります。それぞれの産地で採れる土や受け継がれてきた技術が異なり、個性豊かな焼き物が作られています。ここでは、商品紹介ではなく、文化としていくつかの有名な産地をご紹介します。
有田焼・伊万里焼(佐賀県)
日本で初めて磁器が作られた場所として知られています。透き通るような白い磁肌に、藍色の「染付」や、赤・緑・黄などを使った色鮮やかな「色絵」が施されているのが特徴。薄手で軽く、華やかで格調高い雰囲気を持っています。
美濃焼(岐阜県)
特定の様式を持たず、「特徴がないのが特徴」と言われるほど、多種多様な焼き物が作られている日本一の生産地です。伝統的な志野焼や織部焼から、現代のライフスタイルに合ったモダンな食器まで、ありとあらゆる器が見つかります。私たちが普段使っている食器も、実は美濃焼かもしれません。
益子焼(栃木県)
ぽってりとした厚みと、土の風合いを活かした素朴な味わいが魅力の陶器です。伝統的な釉薬である「糠白釉(ぬかじろゆう)」や「柿釉(かきゆう)」などが使われ、温かみのある民芸的な雰囲気を持っています。用の美を追求した、日常に寄り添う器が多く作られています。
備前焼(岡山県)
釉薬を一切使わず、良質な土をじっくりと時間をかけて焼き締めるのが特徴です。炎の当たり方や灰のかかり方によって、一つとして同じ模様、同じ色にはなりません。「窯変(ようへん)」と呼ばれる偶然が生み出す景色は、備前焼最大の魅力。使い込むほどにツヤが増し、味わい深くなっていきます。
まとめ:食器は日々の暮らしを豊かにするパートナー
長い旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。食器の素材から形、選び方、お手入れ方法、そして豆知識まで、その世界の奥深さを少しでも感じていただけたでしょうか。
食器は、単に料理を乗せるための道具ではありません。どんな器に盛るかで料理の表情は変わり、私たちの気分も変わります。お気に入りのマグカップで飲む朝のコーヒーは、一日の始まりを特別なものにしてくれます。家族のために選んだお揃いのお皿は、食卓の会話を弾ませるきっかけになるかもしれません。丁寧に手入れをした器は、使い込むほどに愛着が増し、かけがえのない「相棒」になっていくはずです。
この記事では、あえて特定の商品を紹介しませんでした。なぜなら、あなたにとっての「最高の食器」は、あなたのライフスタイルや感性の中にしか答えがないからです。ぜひ、この記事で得た知識をコンパスにして、あなただけの宝物のような食器を見つける旅に出てください。そして、見つけた食器を大切に使い、日々の食事の時間を、もっともっと楽しんでくださいね。この記事が、そのためのささやかなお手伝いになれば、これほど嬉しいことはありません。


